◆フロッピーディスク|詳細|データ復旧をサポートする会社を徹底検証!
フロッピーディスク(floppy disk)は、磁気ディスクの一種で、磁性体を塗布した小円盤を紙またはプラスチック製の保護ケースに入れたものである。また、そのフロッピーディスクを読み書きするための装置が「フロッピーディスクドライブ」である。両者とも略して「フロッピー」とも呼ばれる。
目次 |
名称
本来は記録媒体(メディア)が「フロッピーディスク」または「フロッピーディスクメディア」で、駆動装置(駆動し読み書きする装置)が「フロッピーディスクドライブ」(FDD)と呼ばれる。どちらも単に「フロッピー」などと呼ばれることも多い。また「フロッピー」を「フロッピィ」のように書き表すこともある。日本工業規格 (JIS) の用語集では「フレキシブルディスク」と「フレキシブルディスクカートリッジ」である。
最初のフロッピーディスクは1971年にIBMが開発した[1]。当時の名称は「フレキシブル・ディスケット」(flexible diskette)または「ディスケット」[2]で、IBMの登録商標となった。
当時のメディアは紙の保護ケースに包まれて薄くペラペラであったため、従来の硬い磁気ディスクは「ハードディスク」や「ハードドライブ」と呼ばれるようになり、またディスケットは俗称の「フロッピーディスク」(floppy disk)が普及した(レトロニム)。なお「フレキシブル」も「フロッピー」も「柔らかい」の意味である。IBMは現在、一般向けには「フロッピーディスク」の用語も併用している[3]。なお日本IBMは、かつて3 1/2インチ型媒体を使用する読取装置を「3.5型駆動機構」と呼んでいた。
概要
磁気ディスクの一種で、駆動装置からの取り外しが可能(リムーバブル)な記録媒体(メディア)である。磁性体を塗布したプラスチックの薄い円盤を駆動装置で回転させ、円盤の片面ないしは両面に同心円状に信号を記録する。
現時点で一般的なハードディスクとは異なり、駆動装置から媒体を取り外す事ができることが特徴である。ディスクの直径により、8インチ、5 1/4(5.25)インチ、3 1/2(3.5)インチの3種が主に知られ、1969年に読み取り専用の8インチフロッピーディスクが生まれてから1990年代末にかけて、小型コンピュータのデータの記録に広く用いられた。
その後、小型コンピュータの性能の向上により、扱うデータの容量も大型化したため、CDやDVD等の記録型光ディスクドライブがパソコンに標準搭載されるようになり、2000年頃以降は徐々に廃れていっている。Windows XPおよびWindows Vistaが5.25インチ型にも対応はしているものの、最も普及した3.5インチ型以外を見る機会は少ない。2000年頃よりノートパソコンで、続いてデスクトップタイプでもフロッピーディスクドライブを内蔵していない製品が増え[4]、2010年頃には市販のPCでは殆ど搭載されなくなり、自作パソコンでも非対応のマザーボードが出回るなど、レガシーデバイスとなっている。代替メディアとしては、CD-RWや記録型DVD、MO、USBメモリ、メモリーカード系のメディアで配布、保管などの役割を分けて普及している。
現在でも、OSが起動していない段階のBIOSのみで認識させられる数少ないメディアであり、SDカードやメモリースティック、コンパクトフラッシュ、スマートメディアなどのカードリーダーに3.5インチフロッピードライブも内蔵させたものが発売されており、一部では需要がある。また3.5インチ型は最も普及していたことから、現在でもファイルの保存などに使われるマークの図柄(アイコン)として、多くのソフトでその形がモデルにされている。
規格・構造など
サイズ
内部のプラスチックフィルムの直径が200mm 8インチ、130mm 5.25インチ(一般に5インチと呼ばれる)、90mm 3.5インチなどのものがあり、通常、ジャケット(エンベロープとも。200mm 8インチ、130mm 5.25インチ)またはケース(90mm 3.5インチ)に納められている。90mm 3.5インチディスクのケースには、金属またはプラスチック製のシャッターがついており、メディアを保護している。シャッターはディスクドライブ内部でスライドして開き、閉じるときはケース内のばねの力で閉じる。シャッターにロック機構がなく、手で開ける事もできてしまうので、メディア保護の点では良くない。
最初期にソニーが発売した3.5インチディスクドライブはシャッター自動開閉機能がなく、ディスクの出し入れ前後に手でシャッターをスライドさせて開閉する必要があった。やがてドライブにシャッター自動開閉機能が搭載されたが、その頃は自動開閉機能の無いドライブとの互換のために、手でシャッターを開けると開けた位置でロックされ、"PINCH"と書かれた部分(肩部分)をつまむとシャッターがリリースされるという機構のディスクが発売された[5]。やがて自動開閉機能が一般的になり、ディスクも開けたままロックできる機構のものは無くなった。
8インチや5インチなどの初期のFDは、シャッターが無くジャケットが紙で出来ているために、非常に破損しやすかった。
日本ではSIを使用し、正式な製品名称等にはインチではなくmmまたは型が使用される。
- 3.5インチ:90mmまたは3.5型
- 5/5.25インチ:130mmまたは5/5.25型
5インチ、90mm 3.5インチの一般的な2HDのメディアでは、約1.2-1.4MB(FAT12)の容量があり、現在では90mm 3.5インチのものが主流である。しかし小型化を試みる動きもあり、80mm 3インチや65mm 2.5インチも発表されたが、計測器など一部機器の記録メディアとしての利用にとどまり、主流にはならなかった。また、大容量化を試みた製品も数多く存在していた。概要を大容量フロッピーディスクの節に記す。
1枚で1MB程度という容量は、現在のように画像や音声データを扱う用途では不足である。しかしフロッピーの代替となる標準メディアがなかなか現れなかったことや、かつてのPC/AT互換機において起動可能(Bootable)かつ読み書き可能なリムーバブルメディアとしては唯一のものであったため、主に起動用や一部周辺機器のデバイスドライバなど、少量のデータの受け渡し用として広く普及し、現在でも利用されている。また類似のものに、クイックディスクやスーパーディスクなどがあるがともに広く普及することはなかった。
ライトプロテクト
読み込みが可能だが、書き込みを禁止する事ができる。書き込み禁止またはライトプロテクトと言う。その書き込み禁止の操作は各メディアにより異なる。
- 90mm/3.5インチディスク - ライトプロテクトノッチをスライドさせ、窓が空いた状態にする
- 130mm/5.25インチディスク - ジャケットの切り欠きにライトプロテクトシールを貼る
- 200mm/8インチディスク - ジャケットの定位置に切り欠きを作成する
ノッチを元に戻す、シールを剥がす、シールを貼る等の逆操作を行えば、再び書き込み可能状態になる。
ディスクドライブは、ノッチまたはシールの位置に配置した光センサまたはスイッチで、書き込み禁止の状態を判別する。
セクタと容量
ディスク上のトラックは、独立した同心円状に配置される。トラックは円周の特定の位置から開始するが、その点はディスクに物理的に開けられた穴によって決定される。1つのトラック内に複数のセクタ(128バイトの2のべき乗倍)を記録する。このとき、セクタ位置を判別するために、プラスチックフィルムにセクタの開始位置に対応する複数の穴(インデックスホール)を開け、光学センサで検出する方法をハードセクタ方式、インデックスホールをトラック内の第1セクタを示す位置に開け、他のセクタはソフトウェアで位置を決めていく方法をソフトセクタ方式と呼ぶ。現在は、フォーマットの自由度が高いソフトセクタ方式が一般的である。
フロッピーディスクの容量表記には2進接頭辞が使用される場合が多い。しかし1.44MBなど一部に独特の表記もあり、1.44MBは1.44×1000×1024バイトである。詳細はメガバイト#実際の使い分けを参照。また各種フォーマットにおける容量に着いての詳細は下記#フォーマットを参照。
3.5インチFDの2DD、2HC、2HDの物理的な違い
3.5インチの2DDと2HDにおいては、磁性体の品質の要件と外側ケースの穴の位置(2DDではカートリッジ右下に穴が無く、2HDでは穴(HD検機孔)が開いている)以外の差はない。
3.5インチの2HCと2HDについては、メディア自体は全く同じものであり、物理フォーマット(ローレベルフォーマット)が違うだけである。フロッピーディスクにおいて、物理フォーマットという言葉は、ハードウェア形式を指す用語ではなく、論理フォーマットの一段下のレベルのフォーマットを意味し、セクター長やトラック数などのパターンのマッピングを指すものである。
耐久性・寿命
フロッピーディスクは磁気ディスクの一種なので、磁気に弱い。ある程度以上に強力な磁石を近づけると、記録されている情報は破壊されてしまう。埃などの異物の付着や汚れにも弱く、記録面が汚れると情報が読み取れなくなり、破壊に至ることがある。また、高温多湿や紫外線も嫌う。
常に磁気ヘッドと接触した状態で読み書きを行うために少しずつ摩耗し、利用には限度がある。アクセス時以外にはヘッドをディスクから分離する機構のドライブもあるが、現在はヘッドとディスクが常に接触するドライブが一般的である。
摩耗が重なるとディスクの磁気が弱まり、記録された情報を維持できなくなる。ただし、その磨耗は一般使用では無視できるレベルである[6]。
フロッピーディスクは、適切な使用と保管をしていれば、100年程度は情報を維持できるとされる[7]。しかし、雑に扱うと、破壊に至る可能性が高くなるデリケートな記録媒体であり、保管方法によっては数年程度で読み込み不良となる場合もある。寿命を延ばすには、磁気、埃、汚れ、高温多湿、紫外線を避ける保管方法が必須となる。
歴史
8インチ
1970年、IBMのエンジニアアラン・F・シュガート率いるチームによって8インチのものが開発された。容量はわずかに128キロバイトであった。当時はパンチカードの代わりに大型コンピュータへのデータ入力用メディアとして利用され、初期の8ビットや16ビットパソコン用としても1980年代後半まで使われていた。
5.25インチ
ミニフロッピーディスクとも呼ばれる。1976年、米シュガートアソシエイツ[8]からSA-400と呼ばれる5.25インチのディスクとドライブが発表された。当初は容量が80kB(1S、片面単密)と小さく、さらに既に利用されている8インチ(SA-800シリーズ)ドライブとは物理的にも電気信号的にも互換性がなかったが、1978年にアップルコンピュータのApple IIでこのドライブの兄弟機SA-390[9]が採用されると、パーソナルユースを中心に、5.25インチのフロッピーディスクは広く普及した。
5.25インチのディスクは1D(片面倍密度)や2D(両面倍密度)などに発展し、2DD(両面倍密度倍トラック)を経て、やがて主流となる2HD(両面高密度)に至る。日本においては、5.25インチの2HDドライブは電電公社(現在のNTT)が開発を行なってきたため、発表当時は電電公社フォーマットドライブとも言われた。これは容量が約1.2MBで、電気的にも8インチドライブと互換性をとっており、8インチドライブからの代替が可能だったのもスムーズな移行につながった。このことは、ごく古いMS-DOS等の5.25インチ2HD用ディスクフォーマットを持たないオペレーティングシステム(OS)において、これを8インチ2Dディスク用フォーマットで代用できたことからも、全く同等のものであったことが分かる。
3.5インチ
マイクロフロッピーディスクとも呼ばれる。1980年、ソニーが3.5インチ(90mm)のディスクを開発し、1981年発売の英文ワープロ「シリーズ35」の外部記録媒体として採用された。続いてパソコンへの採用も行われ、1982年に発売された同社製のSMC-70に最初に搭載された[10]。
1982年、日本が中心となってフロッピーディスクの標準化が進んでいることを良く思わなかった米国企業は、「マイクロ・フロッピー・スタンダード・コミッティ」(Micro Floppy Standard Committee)を形成し、フロッピーディスクに関する標準化で、米国が中心となるよう活動を開始した。ところが、シュガート、バーベイタムなど参加した14企業には、フロッピーディスクに関する高い技術や独自規格を世界標準に育てるだけの技術力を持った企業が存在しなかった。そのため、ソニーにこのコミッティへの参加を呼びかけた。ソニーはオブザーバーとして参加することになった。ソニーはこのコミッティからの依頼を受け、以下の改良を行った。
- シャッターの自動化
- トラックの数を80に変更
- プロテクトのセンサーを透過型に変更
ソニーがこの3点を変更したことを受け、コミッティは全米規格協会(American National Standards Institute:ANSI)に3.5インチ規格を提案し、1984年にはISO会議で規格が承認された。
1983年提唱のMSXが、1984年5月の発売時までに3.5インチに一本化されたこともあり、日本ではホビー用途の機種や、ワープロ専用機では普及が早かった。しかし、3.5インチのメディアは5.25インチより高価で、ゲームなどパッケージソフトの価格にも同封媒体による差があった。パソコン関連雑誌の付録メディアについては付録に関する規制[11]のため、3.5インチのメディアを付録として使用することが出来なかった[12]。
また、ビジネス用途では、日本電気(NEC)製PC-9800シリーズなどの中期までは、互換性を重視して5.25インチが主流だった。だが、8ビットパソコンのストリームがMSXシリーズを除いて終焉すると、いずれの16ビットパソコンもホビーユースでは3.5インチを採用した為、両者間のデータ共有が少なからぬ問題となった。結局、家庭用では安価な3.5インチFDD標準搭載のホビーユースモデルに5.25インチFDDを外付けすると言った手法で対応した。さらには3.5インチFDDと5.25インチFDDの両方を標準搭載したパソコンも発売された[13]。
1984年1月、アップルコンピュータのMacintoshが3.5インチ(400K)を採用したのを皮切りに、世界的にも各社が3.5インチを用いるようになった。1986年、IBMはPC Convertibleで3.5インチ 2DD(720KB)を採用し1987年にはPS/2とPS/55の全モデルで3.5インチを採用したが、下位機種は2DD(720KB)、上位機種は2DD(720KB)および2HD(1.44MB)であった。後の上位機種には2ED(2.88MB)も追加された。
この2HD(1.44MB)のフォーマットは2DD(720KB)のフォーマットを単純に2倍にした形だったが、5インチでの電電公社フォーマット(上述)をベースにした国産各社の3.5インチの2HD(1.2M)フォーマット(正確には1.21MBや1.23MBなど)とは互換性が無く、相互に読み書きできなかった。ただし、PS/2やPS/55は企業向けが中心であり、また当時のPC/AT互換機はまだ5.25インチが主流であり、2ED(2.88MB)はNeXTstationなどのワークステーションに採用された程度で、あまり普及しなかったため、影響は限られていた。
しかし、1990年にDOS/Vが登場して1991年にOADGも3.5インチを推奨し、3.5インチ標準搭載のPC/AT互換機が一般家庭を含めて日本で本格的に普及すると、日本(PC-9800シリーズ、FMRシリーズ、FM TOWNSなど)と世界(PC/AT互換機)では両者で標準となった3.5インチの2HDフォーマットで互換性が無いという上述の問題の影響が拡大し、PC/AT互換機の普及の過程で混乱があった。当初は、両者に共通のフォーマットである2DD(720KB)のフロッピーディスクや、ネットワークなどを利用したデータ交換が行われ[14]、次第に3モードフロッピーディスクドライブ(720KB、1.2MB、1.44MB)が両者に普及した。
詳細は「3モードフロッピーディスクドライブ」を参照
その後、主流となった3.5インチFDであったが、2000年代後半から他の大容量記録媒体の登場に伴い、売り上げは大幅に落ち込むことになり、2009年春に日立マクセルと三菱化学メディアがFD生産から撤退。1981年に世界に先駆けてFDを発売し、最後までFD生産を続けたソニーも、上記の理由から需要が急減したことで、2011年3月に中華人民共和国のメーカーに委託しているFDの生産を終了した。
その他の規格
- 4インチ
- 1983年に、IBMが「デミディスケット」という名称で発表。トラックにより回転数を変え、ビット密度を一定にした。また、エンベロープの対角線上で磁気ヘッドを接触させる珍しいレイアウトを採用していた。片面単密度でフォーマット容量250KB。試作のみで製造中止。
- 3インチ
- コンパクトフロッピーとも呼ばれる。1981年に、松下電器産業(現・パナソニック株式会社)、日立製作所、日立マクセルの3社が規格を発表。片面40トラック、250KBアンフォーマットなど、初めから5.25インチと互換が取れるように設計されていた。3社を中心に、日本でフロッピーディスクの標準化を進めたが、Macintosh、IBM PCが3.5インチを採用し、廃れていった。3.5インチディスクとは逆に、ケースの内側に読み取り部分のシャッターがあるのが特徴。
- クイックディスク
- 1984年に、ミツミ電機が発表。2.8インチで片面64KB(裏返して使用可能)。渦巻状のトラックでランダムアクセス不可。詳細は「クイックディスク」を参照。
- 2インチ
- 1981年にソニーが発表したビデオフロッピーディスクをデータ用に使用したもの。ソニーのワープロ「PRODUCE」シリーズに使われた。
- ファミリーコンピュータディスクシステム
- 1986年に任天堂が開発した、コンシューマーゲーム機であるファミリーコンピュータ(ファミコン)用の磁気ディスクシステム。容量は112kB。クイックディスクのジャケット形状を変更し、任天堂の独自規格としたもの。
その後
当初、フロッピーディスクは磁性体の塗布技術に難点があり、不良率が高かったが、特定OS用の初期化作業時に全品検査する方式が導入されると、不良率が激減した。さらに、磁性体の塗布技術が向上し、1990年代前半には品質が安定化した。その後は大容量化が図れず、日本ではコスト削減から製造ラインの国外移設により、品質も低下した。
インターネット普及前は、本の付録などに3.5インチディスクが使われることも多かった。概ね2000年頃までフロッピーディスクは盛んに使われていたが、やがて光磁気ディスクや光学ドライブで書き換え可能なメディアが広まり、さらに読み書き速度も高速で大容量なフラッシュメモリ(特にUSBメモリ)が広まることで、フロッピーディスクは徐々に廃れつつある。また、本の付録としての使用は、出版社や著者のHP上でのファイル公開という代替手段ができている。
ただし、自作機市場では未だに一定の需要がある。自らシステムメンテナンスを行う自作機ユーザーにとって、フロッピーディスクは「最後の起動手段」として常識的に搭載されてきた。だが、近年のWindowsでは、フロッピー起動ではNTFSの読み書きができない(厳密に不可能ではないが、上級の知識と技術が必要)事から、この意味での搭載の意味は薄くなった。現在フロッピーディスクドライブを搭載する意味は、DSP版Windowsのライセンス権を、以降発展がないであろうフロッピーディスクドライブのバンドル扱いとすることで、ハードウェア構成を発展させていくうえでOSのライセンス権を継承する為の「安全策」として扱われている。しかしこの販売手法が、フロッピーディスクドライブインターフェイスを搭載しないマザーボードが主流となったのちにも一部で継続され、DSP版Windowsを廉価に販売および購入する「抜け道」になっていた。フロッピーディスクドライブの製造が各社で終息したことにより、この抜け道販売状況も収束した。
フロッピーディスクの磁性体特性は、規格(あるいはデファクトスタンダード)に定められており、メディアの差別化は磁性体をフィルムに固定するバインダーと呼ばれる接着剤に工夫を凝らしていた。磁性体の剥離を最小限に抑えヘッドの清浄性を保つもの、導電性を持たせて埃の付着を防止したもの等があった。しかし、花王製品はバインダー素材の工夫に凝りすぎた結果、発売1年後にカビ発生の事象が発生し、当該メディア賠償と耐カビ性能を向上させた新製品を発売するが、失った信用を戻せず、フロッピーディスク事業から撤退した。[要出典]現在でも古いメディアをドライブに挿入するとヘッドにカビが付着し、他メディア読み取りも不可となる事例がある。経時したメディア使用時、白い粉が噴いていないか確認するユーザーもいる。
大容量フロッピーディスク
フロッピーディスクの記憶容量を増やすために、フロッピーディスクと上位互換を持ついくつかの製品が開発されたこともある。それらを総称して大容量フロッピーディスクという。しかしそれぞれ専用のディスクと専用のドライブが必要で、製品間の互換性もないため、普及しなかったものがほとんどである。
- ZIP:フロッピーディスクとの互換性はない。
- スーパーディスク
- FD32MB:大容量フロッピーディスクとはされていない。
- High Capacity Floppy Disk(HiFD)
- フロプティカルディスク
- Ultra High Capacity(UHC)
- UHD144(it)
各ハードウェア規格の開発元
- フロッピーディスク(8インチ):1970年、IBM
- ミニフロッピーディスク(5.25インチ):1976年、シュガートアソシエイツ
- 4インチ:IBM(試作のみ)
- マイクロフロッピーディスク(3.5インチ):1980年、ソニー
- コンパクトフロッピーディスク(3インチ):日立製作所
- ビデオフロッピーディスク(2インチ):ソニー、キヤノン
関連する日本工業規格
- JIS X0603:情報交換用フレキシブルディスクカートリッジのラベルとファイル構成
- JIS X0605:情報交換用フレキシブルディスクカートリッジのボリュームとファイル構成
- JIS X6221, JIS X6223, JIS X6226, JIS X6226:90ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジ
- JIS X6222, JIS X6224, JIS X6225:90ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジのトラックフォーマット
フォーマット
IBMフォーマット
詳細は「IBM形式フロッピーディスク」を参照
一般的なフォーマットの例
- 8インチ
-
- 片面単密度(IBMの「Diskette 1」:約243kB)
- 両面単密度(IBMの「Diskette 2」:約493kB)
- 両面倍密度(IBMの「Diskette 2D」:約985kB)
- 初期には片面単密度、後には両面倍密度が多く利用された。
- セクタ長など幾つかのバリエーションがある。
- ソフトセクターが一般的であるが、一部のオフィスコンピュータやメインフレームではハードセクター方式もあった。
- IBM汎用コンピュータでは、77個のシリンダの内、0番目をインデックスとして末尾の2つを予備用として利用するため、実際にデータとして使えるのは74個のシリンダである。MS-DOSなどでは、77個すべて使える。
- 1995年頃に生産はほぼ終了している。
- 5.25インチ
-
- 片面単密度 - 1S(1 sided Single density):約70kB
- 片面倍密度 - 1D(1 sided Double density):約140 - 160kB
- 両面倍密度 - 2D(2 sided Double density):約320 - 360kB
- 両面倍密度倍トラック - 2DD(2 sided Double density Double track):約640 - 720kB
- 両面高密度(8インチ2D相当) - 2HD(2 sided High density Double track):約1 - 1.2MB
- IBM PC、PC/XTは両面倍密度360kBが一般的
- IBM PC/AT は 360kB に加え、2HC と称する1MB記録が採用された
- AppleIIは独自フォーマットを施すことで1Sながら約143kB(書き込みノッチを切ることで両面使用できた)
- NEC PC-8800シリーズ、富士通FM-7/8等は2D(320kB)が一般的
- NEC PC-100は2D(360kB)が採用された。
- NEC PC-9801Fで2DD(640kB)、PC-9801Mで2HD(1MB)、PC-98XAおよびPC-9801VMで2DD/2HD両用ドライブがそれぞれ採用された。
- ソフトセクターが一般的であるが、一部のオフィスコンピュータやメインフレームおよび初期のパーソナルコンピュータ(NorthStar Horizonなど)ではハードセクター方式もあった。
- 2001年頃に生産はほぼ終了している。
- 90mm 3.5インチ
-
- 両面倍密度(2D:約320 - 360kB)
- 両面倍密度倍トラック(2DD:約640 - 720kB)
- 両面高密度(2HD:約985kB/1.23MB/1.44MB他|2HC:約1.21MB|IBM形式でフォーマットした場合は、200mm 8インチ2Dに相当する)
- 両面超高密度倍トラック(2ED - 2 sided Extra high density Double track:約2.88MB)
- 両面3倍密度3倍トラック(2TD - 2 sided Triple Density triple track:約9.3MB)
- IBM PC Convertible で2DD(720kB)が採用された
- IBM Personal System/2(PS/2) で2HD(1.44MB)が採用された
- PC-9801Uで2DD(640/720kB)、PC-9801UVで2HD(1MB)/2DD両用ドライブが採用された。
- 2HD(1.44MB)を読書き可能にした3モードFDDが採用されたのは、初代PC-9821からだった。
- 現在の主流サイズである。
- 2HD(1.23MB)を98フォーマット、2HD(1.44MB)をDOS/Vフォーマットと呼ぶこともある。
- 2EDは東芝が普及に力を入れたが、ドライブが普及しなかったことや、MS-DOSでサポートされたのはVer.5からだったこともあり、あまり一般的ではない。ただし、2世代目以降のNeXTcube・NeXTstationでは、初代NeXTcubeの5インチMOに代わる記憶媒体として、ハードディスクドライブとともに標準搭載された。なお、FMRシリーズ・FM TOWNSのBIOSでは2EDがサポートされていた。
- 日本国内で3モードドライブといえば1.44MB/1.23MB/720KBを指すのが一般的だが、世界では2.88MB/1.44MB/720KBの事を指していた。そのため、少し古いマザーボードのBIOSで3モード設定を行なうと、不具合を生じる事がある。最近のものは日本仕様になっているため、問題は起こりづらい。
- 2TDは、日本電気(NEC)のPC-88VA3のみに採用されたドライブで、レーザー刻印によるオプティカルトラックガイドがついたメディアを使用する。
- 2HD(1.23MB)に関しては、PC-9800版MS-DOSのFORMATコマンドで1.25MBと表示されていたために、1.23MBではなく1.25MBと表現されることも多かった。
- Macintoshは独自フォーマットを施すことで片面 (1DD) で400KB、両面 (2DD) で800KBを実現した。外周から16シリンダ毎にセクタ数が減っていき回転数が上がるZCAV方式で、エンコードはGCR方式。2HDの物理フォーマットは1.44MB(ファイルシステムは異なる)で、ユーティリティを使用すればWindows上でもアクセスできる。片面および両面ディスクはUSB接続のドライブではZCAVにもGCRエンコードにも対応できないためMac OS上でもアクセスできず、アクセスするにはドライブを搭載した当時の機種が必要になる。そのため、両面ディスクにアクセスできMac OS Xの稼動する機種は初期のG3のみと非常に限られる。
3.5インチフロッピーディスク各形式の詳細
| 注釈 | 形式名 | 回転数 | 容量(ア) | 容量(フ) | セクタサイズ | セクタ数 | ヘッド数 | シリンダ数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1D形式 | 300rpm | 250KB | 160KiB | 512バイト | 8 | 1 | 40 | |
| 2D形式(初期国産8bitパソコン) | 300rpm | 500KB | 320KiB | 512バイト | 8 | 2 | 40 | |
| 1DD形式 | 300rpm | 500KB | 320KiB | 512バイト | 8 | 1 | 80 | |
| 1DD形式 | 300rpm | 500KB | 360KiB | 512バイト | 9 | 1 | 80 | |
| 2DD形式(初期国産パソコン) | 300rpm | 1.00MB | 640KiB | 512バイト | 8 | 2 | 80 | |
| ★ | 2DD形式(大抵のパソコン) | 300rpm | 1.00MB | 720KiB | 512バイト | 9 | 2 | 80 |
| 2HC形式(俗称) | 360rpm | 1.60MB | 1200KiB | 512バイト | 15 | 2 | 80 | |
| 2HD形式(日本のパソコン) | 360rpm | 1.60MB | 1232KiB | 1024バイト | 8 | 2 | 77 | |
| ★ | 2HD形式(PC/AT互換機) | 300rpm | 2.00MB | 1440KiB | 512バイト | 18 | 2 | 80 |
| 2HD形式(IBM形式/H型) | 360rpm | 1.60MB | 985KB | 256バイト | 26 | 2 | 77 | |
| 2HD形式(三菱IBM形式) | 300rpm | 2.00MB | 985KB | 256バイト | 26 | 2 | 77 | |
| ★ | 2ED形式 | 300rpm | 4.00MB | 2880KiB | 512バイト | 36 | 2 | 80 |
| ★ | 1DD形式(Mac 片面) | 394~590rpm | 500KB | 400KiB | 512バイト | 12~8 | 1 | 80 |
| 2DD形式(Mac 両面) | 394~590rpm | 1.00MB | 800KiB | 512バイト | 12~8 | 2 | 80 | |
| 2HD形式(Mac 高密度) | 300rpm | 2.00MB | 1440KiB | 512バイト | 18 | 2 | 80 | |
| 2TD形式(NEC一部機種) | 360rpm | 12.5MB | 9.3MB | 512バイト | 38 | 2 | 240 | |
| 2HD形式(FD32MB) | N.Arpm | N.A MB | 約32MB | 512バイト | 53~36 | 2 | 777 |
- 参考
| 注釈 | 形式名 | 回転数 | 容量(ア) | 容量(フ) | セクタサイズ | セクタ数 | ヘッド数 | シリンダ数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ★ | 8インチ2D形式(汎用機) | 360rpm | 1.60MB | 985KB | 256バイト | 26 | 2 | 77 |
| 5.25インチ2HD形式(PC/AT) | 360rpm | 1.60MB | 1200KiB | 512バイト | 15 | 2 | 80 | |
| 5.25インチ2HD形式(PC-9800シリーズ) | 360rpm | 1.60MB | 1232KiB | 1024バイト | 8 | 2 | 77 | |
| 5.25インチ1S形式 (SA-400) | 300rpm | 100KB | 80KB | 256バイト | 18 | 1 | 35 | |
| 5.25インチ2D形式 (SA-450) | 300rpm | 400KB | 320KB | 512バイト | 18 | 2 | 35 |
※ ★がつくものは、世界で利用されている形式。その他は日本国内でしか利用されていない。
※「容量(ア)」はアンフォーマット容量、「容量(フ)」はフォーマット容量を表す。
※ 容量KBまでは2進接頭辞(KiB)、MBからはSI接頭辞との混合とする慣例があった。
例 720KBの倍の容量1,440KBは1.4MB(1.40625MiB)ではなく、1.44MBとする。
※ フォーマット容量はセクタサイズxセクタ数xヘッド数xシリンダ数によって算出される。
(アンフォーマット容量が同じでもセクタサイズ、セクタ数によってフォーマット容量が変化する)
- 2HDのIBM形式は日本独自のものであり、8インチの「IBM Diskette 2D」と完全互換である。また、2DDのIBM形式というものは存在しない。当然ながら、『IBM PC/AT互換機』におけるフロッピーディスクの形式をIBM形式と呼ぶことはありえない。
- 2HC形式とは、5.25インチのPC/AT互換機用2HDフォーマットを、そのまま3.5インチの2HDディスクに適用した形式である。東芝の初期型ダイナブック等で採用された。一時期の日本では、3.5インチのPC/AT互換機用2HD(1.44MB)フォーマットについても2HCと呼ばれていたことがあったが、誤りである。
- 2TD形式はNECの一部の機種のみに採用された独自規格で、ドライブ、媒体とも専用の物を使う(2DD/2HDの読出のみ可能)。
- 初期の5.25インチは、トラック数が35だった。後に40に拡張されたが、互換性のため、2DDでも70シリンダのものも有る。
その他
- 読み取りの痕跡
- 磁気ヘッドがメディアに接触する際、ヘッドの接触痕跡がメディアに残る。この痕跡はヘッド毎にユニークであると言われる。記憶媒体の中では磁気テープと並び、読み取りの痕跡が媒体に残る数少ないメディアである。
- 誤用
- 一定以上の年齢層においては、リムーバブルメディア(現在主流なのはUSBメモリやCD-RW等)やMOディスクなどの代名詞として、「フロッピー」が使用されることがあるが、これは「筆箱」という用語や、CDを「レコード」と呼ぶような、似たような機能を持つものを包括して、古い事物で代表させる言い方である。
注釈
- ^ Diskette - IBM Archives
- ^ IBM's 360 and early 370 systems(Emerson W. Pugh,Lyle R. Johnson,John H. Palmer) p520, p615.
- ^ 例:The Floppy Disk - IBM100
- ^ この場合、OSインストール時のドライバの組み込みバックアップや復元作業など何らかの事情でフロッピーディスクを使う必要がある場合、USB接続による外付けのドライブを利用する形になる。
- ^ このディスクは自動開閉機能搭載のドライブには手でシャッターを開けずに挿入することができた。
- ^ JISでは1トラックにつき300万回は使用できる耐久性を持たせるよう定められている。
- ^ フロッピーディスクは何年も使えるものでしょうか? - 社団法人 日本記録メディア工業会
- ^ 前述のシュガートが興したメーカー。
- ^ SA-400からコントローラ基板を抜いたモデル。これは、AppleIIではコントローラはアップル独自の物を利用していたことによる。ただし、実機のドライブ銘板がSA-390ではなく、SA-400のままの個体も多数存在した。
- ^ なおSMC-70などの最初期のドライブではオートシャッター機能はなく、手でシャッターを開けてドライブに挿入した。ディスク側にもシャッターをロックする機構があり、ディスク排出をされてもシャッターは自動で閉まらない。手でメディアのピンチマークを締め付けるとシャッターが閉まるという機構であった。オートシャッター機構対応ドライブにディスクを流用する際にはロック爪をカッターで削って欲しいという注意書きが出回った。これは後述の様に標準化の際に規格が変わったためである。
- ^ 露出した金属を流通させてはならないというもので、シャッターのプラ化は価格よりもこの対策が主であった。なお、チャッキング部分は露出していないため、金属製のままとされた。
- ^ 後にはディスクと同じ厚さのボール紙で囲うことで対処した。
- ^ EPSON PCシリーズの一部。
- ^ 中には日本IBMのPS/55Zのようにオプションで1.2MBフォーマットのディスク読み出しに対応したドライブを搭載可能とした機種も存在した。
関連項目
- スマートメディア(Solid State Floppy Disk Card)
- ブートディスク
- 中松義郎 - フロッピーディスクの発明及び特許を取得したと主張した。
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最終更新 2012年4月22日 (日) 09:50 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【フロッピーディスク】変更履歴
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